看護師が離婚して後悔した事


竹内 静江(32歳 看護師)

シンママになってから、離婚相談を受けることが多くなった。
先日も前職の後輩から「離婚したい」と打ち明けられた。

そんな時。
私は決まってこう言う。

「シンママは本当に大変だよ」
「覚悟はあるの?」

後輩としては、「シンママ最高だよ!」「自由だよ!」「早く離婚しなよ!」といった後押しを期待していたと思う。

確かに世の中にはそうした「離婚を推奨する人」が溢れている。

「離婚は十分考えた」
「まったく後悔していない」
「子供と楽しく暮らしている」

こうしたシンママもいるだろう。

私も最初はそうだった。
離婚すれば幸せが手に入ると思っていた。

でも現実は違う。
結婚で散々嫌な思いをして、離婚であれだけ苦労したのに、それ以上の地獄が待っているとは・・・。

今回はそんな話。


予想以上に厳しい金銭事情

元夫からの養育費、4万。
国からの母子家庭手当、約4万。
あとは自分が働けば楽勝!

だと思っていた。

でも実際は、そううまくいかない。

まず養育費を当てにしてはいけない。
いずれ貰えなくなる確率が高い。
母子家庭で貰っているのはたったの2割。
8割はバックレ。

うちも色々あって、今は貰えていない・・・。
(詳しくは下記で)

母子家庭手当の4万円もよく考えれば、たいした金額ではない。
年間たったの48万円。
子供が2人もいれば簡単に吹き飛ぶ。

それにシンママの再就職はかなり厳しい。
看護師であっても断られまくる。
実家住まいならある程度マシかもしれないが、1人で育てるとなれば、病院側も警戒度MAXになる。

私は8年の経験があったけど、5件連続断られて心が折れた。
最終的には妥協に妥協を重ねて、悲惨な職場に再就職してしまい、地獄を見ることに・・・。


止まることを許されない

稼ぐのも、育てるのも、すべて自分一人。
ケガはもちろん、風邪をひくことさえ許されない。

シンママは常に走り続けなくてはいけない。
もちろんそれは分かっていた。

でも実際には予想以上。
生半可ではない。

誰かを頼りたくても、頼れない。
自分で選んだ道だから。

私は一時期の記憶がパタッと抜けている。
どんな生活をしていたのか本当に覚えていない。
物理的な限界を超えるくらい、目まぐるしく忙しい毎日だったのだけは覚えている。


実家を頼れないリスク

これは人によるかと思う。
実家にうまく頼っているシンママもいる。

でも私のようにうまくいかない人もそれなりに多い。

「どうして我慢できなかったの?」
「子供のことを考えなかったの?」
「もう一度やり直せないの?」

どこの親も、多少なりは離婚に不満を持っていると思う。
離婚できない時代の人にとってはなおさら。

もちろん軽く受け流せばいいだけかもしれない。
でも母子家庭でギリギリの生活をしていると、そんな余裕も無くグサグサと突き刺さる。

父は何年も口をきいてくれなった。
母は気遣ってくれるも、やはりどこか消極的だった。


再婚は幻想

シンママの中には再婚する人もいる。
私も夢見ていた時期はあった。

でも現実としてはかなり難しいと思う(私のスペック的な問題もあるが・・・)

まず出会えない。
職場は女性か年寄りばかり。
夜に出歩くこともできず、何よりそんな暇はない。
外出するのはたいてい子供の行事。
いるのは女性や既婚男性ばかり。

お付き合いの話はたまに聞くが、再婚となればハードルは高い。
再婚できても、その後うまくいっている話はほとんど聞かない。
たいていの人は×が増える。

と、私が言うと妬みに聞こえる・・・(^^;)


自分が嫌いになる

母子家庭は何もかもが上手くいかない。
幸せそうな親子を見るたびに自己嫌悪。

「私はどうしてうまくやれなかったんだろう」
「私はバカだクズだ」
「死んでしまいたい」

誰にも頼れず、自分の殻に閉じこもり、やがて子供にも負の影響が出てくる。

「この子まで不幸になるのでは・・・」
「私が親だったばっかりに」

そして自分がさらに嫌いになる。
母子家庭はこのループ。


子供が一番の被害者

離婚後、元夫とは何度か会った。

「お父さんとお母さん、手つないで!」
「手!」
「早く!」
「チューしてチュー!」

と、面会のたびに下の子からせがまれた。
仲直りさせようと子供なりに思ったのだろう。

そのたびに「余計なこと言うな!」と上の子から怒られていた。

でも下の子はあきらめなかった。
あまりのしつこさに負けて、一度だけ元夫と手をつないだ。

下の子は「やったー!やったー!」と飛び跳ねて大はしゃぎ。
上の子は困った顔をしながらも、口元は緩でいた。

この時の二人の笑顔は本当に辛かった・・・。
「ごめんね、ごめんね」と心の中で謝ることしかできなかった。


職場への依存度が高くなる

母子家庭が幸せになれるかどうかは、職場にかかっている。

例えば下記の病院に勤めているイメージをしてみてほしい。

「正社員、月収50万、10時~15時勤務、土日休み、24H保育あり」

どうだろうか?
母子家庭であってもイージーモードだろう。

つまり。
母子家庭の難易度は、職場次第ということ。

もちろんこんな好条件の病院はない。
現実には「パート、月収18万、残業ありで土日も出勤」だ。
そうしたシンママは看護師であってもゴロゴロいる。

だけれども理想に近い病院はあるにはある。
例えば月収35万で土日休み、正社員で時短、年収500万円で小学生もOKの託児所付きなど。

問題なのは、そうした病院が見つからない事だ。
運良く見つけられても、内定が出ることは滅多にない。

そうして探し疲れて、目先しか見えなくなり、劣悪な職場に入ってしまい、子供まで不幸にしてしまう。
これが母子家庭の現実。



いずれ後悔する

4年前。
出先で元夫に出くわしたことがある。
元夫は大きくなった子供たちにビックリしながらも、少し言葉を交わし、私達はその場を離れた。

それから1年後。
元夫は死んだ。

葬式の時、彼の友人からこう言われた。

「あいつはあの後、ずっとあなた達を見ていたよ。見えなくなってからもずーーっと」

苦しくて、苦しくて。
ただただ泣いた。
私は彼に何をしてあげられたのだろう、離婚以外の選択肢はなかったのか、もっと話し合うべきだったのではと。

人生は後悔の繰り返し。

私はこれからもずっと後悔し続けると思う。


最後に・・・

できることならもう一度話し合ってみてほしい。
解決の糸口は話し合いでしか見つからない。

でも離婚せざるを得ない人もいる。
DV、モラハラ、虐待、ギャンブル、借金、経済的な問題。

そうした人は、経済基盤を真っ先に固めておいてほしい。
母子家庭が悩む最大の原因は「お金」だから。

離婚の前に、職場選びだけはしっかりやってほしい。
理想の職場は見つからないけど、理想に近い職場は必ずあるから。

私は地獄を見た後に、運よくそうした職場を見つけられ、家族が路頭に迷うことがなくなった。

母子家庭の運命は、職場次第。


その後(2019年 追記)

結局、冒頭の後輩は離婚した。

夫婦で話し合った結果だからしょうがない。
私にできるのは彼女を最大限サポートすること。

全ては職場選びにかかっている。
ハローワーク、看護協会へ一緒に行き色々とレクチャー。
求人サイトも隅から隅まで見た。

最終的には転職サイト(看護roo)から病院を紹介してもらった。
予想外に優秀な担当者さんで助けられた。

後輩は今、病棟で働いている。
子供を院内保育に預け、夜勤にも入っている。
正社員かつ、手取りは35万円前後になるそうで、経済的な心配もないだろう。
入った寮にはシンママも多く、お互いに子供の面倒を見て助け合っているそうだ。

後輩にとっては理想に近い職場だと思う。

一部の転職サイトは、看護rooのように復職ナースに力を入れいてる。
シンママこそ、こうしたサービスを上手に活用してほしい。

参考:看護rooの公式サイトへ→
https://www.kango-roo.com/

母子家庭は職場次第。
心底そう思う。